トンボ(とんぼ)
別名:トリムマーク、見当
断裁位置や見当合わせを示すために、仕上がりの外側に付ける印。入稿先の規定に従う。
発注される方へ — この言葉が意味すること
トンボは、印刷物を仕上げる工程で使う位置合わせの印です。仕上がりサイズの外側、塗り足しのさらに外に付きます。
役割は2つあります。ひとつは断裁の位置を示すこと、もうひとつは色の版を重ねる位置を合わせることです。フルカラー印刷では複数の版を重ねるため、位置がずれると色がにじんで見えます。トンボはその基準になります。
発注側として知っておくとよいのは、確認用のPDFにはトンボが付いているものと付いていないものがあるということです。トンボ付きのPDFは仕上がりの外側まで見えるため、実際の見え方とは印象が違います。「端が余って見える」のはトンボと塗り足しの分で、仕上がりではその部分は切り落とされます。
確認の際は、どちらのPDFを見ているかを意識してください。レイアウトの最終確認は、トンボなしの仕上がりサイズのPDFで行うほうが実物に近い判断ができます。
制作する方へ — 実務上のポイント
トンボと裁ち落としの扱いは、入稿先の規定に従います。社内の標準を当てないでください。印刷会社によっては「トンボ不要、塗り足しのみ」という指定があります。
書き出しの設定では、トンボの色にも注意が必要です。トンボはレジストレーションカラー(全色100%)で作られるのが標準で、通常の黒(K100%)で作ると版合わせの役目を果たしません。入稿前のチェック項目に「トンボ色なし」といった確認が入るのはこのためです。
PDFの書き出しは印刷会社の指定プリセットを使います。一般的な候補はPDF/X-1a、PDF/X-4、高品質印刷です。書き出したあとに必ず開いて目視確認します。確認する内容は、サイズ、塗り足し、トンボ、画像の抜け、文字化け、ページ順、表裏の向きです。
ファイル名は内容が分かる統一形式にします。`案件名_制作物名_サイズ_日付_v番号.pdf` のような形です。「最終」「最新」「これで本当の最終」といった曖昧な名前は使いません。どれが入稿したものか分からなくなります。
実例
確認用のPDFでよく起きる行き違いが、トンボ付きのPDFを見て「余白が広すぎる」と指摘が入るケースです。トンボと塗り足しの分だけ外側が見えているためで、仕上がりではその部分は切り落とされます。
トンボの色の設定ミスも典型です。通常の黒で作ったトンボは、4つの版すべてに出ないため、版合わせの基準として機能しません。見た目では判別できず、入稿前チェックの項目として機械的に確認する以外に発見する方法がありません。
混同されやすい言葉
塗り足しは、仕上がりの外側まで色や画像を伸ばしておく領域です。トンボはその外側に付く印で、役割が違います。
仕上がり線は、断裁後のサイズを示す線です。トンボはその位置を示す印として機能します。デザインデータ上ではアートボードの境界として扱われることが多く、トンボのように印刷されるものではありません。
面付けは、複数ページを印刷用の大きな紙に配置する工程です。トンボはその工程で断裁位置の基準として使われますが、面付け自体は印刷会社側の作業になります。制作側が面付けまで行うかは案件と入稿先によって変わるため、入稿規定で確認します。
センタートンボは、紙の中心を示すトンボです。四隅のコーナートンボとは役割が異なり、折りや断裁の基準として使われます。二つ折りや観音折りの資材では、折り位置の指定と合わせて確認します。折り加工のある資材では、折り位置が版面の設計そのものに影響します。