Wチェック(だぶるちぇっく)
別名:ダブルチェック、第三者チェック
作業者とは別の人がもう一度確認する品質管理の仕組み。入稿前の最終確認で必ず実施する。
発注される方へ — この言葉が意味すること
Wチェックは、作業した本人以外の目をもう一度通すという、ごく単純な仕組みです。単純ですが、医薬品資材の制作では欠かせません。
理由は、作業者が自分の作業を確認しても見落としが残るからです。人は自分が「直したつもり」の箇所を、直っているものとして読んでしまいます。文字の修正漏れ、数値の取り違え、図と本文の不一致は、作業者本人が最も気づきにくい種類の誤りです。
発注側として知っておくとよいのは、Wチェックには時間がかかるということです。入稿直前に「あと1日詰められないか」という相談が出たとき、削られる候補になりやすいのがこの工程です。しかし医薬品資材は、誤った情報が印刷されて市中に出た場合の回収コストが、制作費とは桁違いになります。ここを削るのは割に合いません。
制作会社を選ぶときに、Wチェックを誰がどう実施しているかを確認するのは有効です。記録を残しているか、チェックリストは案件ごとに作っているか、といった点で、品質管理の実態がかなり見えます。
制作する方へ — 実務上のポイント
入稿前のチェックは、案件ごとにチェックリストを複製し、確認済みの記録として残します。記憶に頼らず、消し込んだ証跡を残すのが要点です。確認する範囲は大きく6つに分かれます。
サイズ・レイアウトでは、仕上がりとアートボードのサイズ、塗り足しが3mm以上あるか、文字やロゴが端に寄りすぎていないか、表裏の向き、ページ順を見ます。
色では、ドキュメントがCMYKになっているか、RGBが残っていないか、不要な特色がないか、黒文字がK100%か、意図しないオーバープリントがないかを確認します。
画像では、解像度が足りているか、リンク切れがないか、仮画像が残っていないか、使用権利に問題がないかを見ます。
文字では、誤字脱字、アウトライン化の完了、アウトライン前データの保存、文字サイズと白抜き文字の線の太さを確認します。
オブジェクトでは、不要なレイヤー・アートボード外の要素・非表示・ロックされたものを削除し、細すぎる罫線がないかを見ます。
PDF確認では、書き出したPDFを実際に開いて、文字化けや画像の抜けがないか、塗り足しとトンボが入っているか、QRコードが実機で読み取れるかまで確認します。
修正作業のあとは、修正前後のPDFを比較して差分を取ります。Acrobatの「ファイルを比較」を使い、「テキストのみを比較」のチェックを外すと画像として比較されるため、文字の変更だけでなくレイアウトのずれも拾えます。
実例
入稿直前に見つかる誤りとして多いのが、確認用として仮に置いた画像が残っているケース、修正指示の反映漏れが図の中の文字だけに残っているケース、そして承認前の仮置き記号が消されていないケースです。いずれも本文を読むだけでは気づきにくく、チェックリストに項目として立てて機械的に見ていくことでしか防げません。
QRコードは、画面上で見た目が正しくても実際には読み取れないことがあります。線の太さが十分でない、周囲の余白が足りない、リンク先が失効している、といった原因です。実機で読み取って遷移先まで確認するのが確実です。
混同されやすい言葉
校正は、原稿と組み上がったものを突き合わせて誤りを見つける作業です。Wチェックは「別の人がもう一度見る」という体制の話で、校正を含むより広い枠組みを指します。
入稿前チェックは、Wチェックの中で印刷用データの技術的な条件を確認する部分です。