インタビューフォーム(いんたびゅーふぉーむ)
別名:IF
電子添文を補完する医療従事者向けの学術資料。プロモーション資材ではない。
発注される方へ — この言葉が意味すること
インタビューフォーム(IF)は、電子添文だけでは分からないことを補うための学術資料です。単なる転記ではなく、「なぜその注意が設定されたのか」まで踏み込んで書かれます。
最も重要なのは、IFはプロモーション資材ではないという点です。医療従事者が医薬品を適正に使うために必要な情報を提供するものであり、製品を訴求するための資材ではありません。この性格の違いが、制作上のあらゆる判断に影響します。
もう一つ、発注側にとって実務的に意味があるのは、IFが他の資材を作るときの一次情報源になるということです。RMP資材、製品情報概要、患者向け資材を作る際に「この数値の根拠はどこか」「この注意はなぜ設定されたのか」を辿る索引として機能します。IFが整備されていると、他の資材の制作が速く、正確になります。
改訂については、内容の重要度によって緊急度が階層化されていることを知っておくと、スケジュールの判断がしやすくなります。警告・禁忌・効能効果や用法用量に関連する注意・重要な基本的注意・併用禁忌・重大な副作用といった安全性の中核に関わる変更は、電子添文の改訂に合わせて可及的速やかに改訂します。効能の追加・削除や販売名の変更も同様です。一方、製剤の変更は新製剤の販売開始時期を考慮して行い、その他の変更は重要度に応じて適宜、または次回改訂時にまとめます。
制作する方へ — 実務上のポイント
IFの章構成は決まっています。Ⅰ概要、Ⅱ名称、Ⅲ有効成分、Ⅳ製剤、Ⅴ治療(臨床成績を含む)、Ⅵ薬効薬理、Ⅶ薬物動態、Ⅷ安全性(使用上の注意等)、Ⅸ非臨床試験、Ⅹ管理的事項、ⅩⅠ文献、ⅩⅡ参考資料(外国での発売状況等)、ⅩⅢ備考(簡易懸濁や粉砕といった添付文書外の情報)。
この構成は他の資材を作るときの索引として使えます。「この数値はIFのどの章を見れば根拠が分かるか」を辿れるようにしておくと、根拠確認の時間が大きく減ります。
版数の扱いには独特のルールがあります。軽微な修正や追記であっても原則として版数を上げます。また、記載要領が新しいものへ移行した際も版数はリセットせず累計します。「新記載要領の第1版」という数え方はしません。
情報が存在しない場合の表記にも区分があります。該当するデータが存在しないのか、調査していないのか、設定されていないのか。これらは意味が異なるため、区別して表記します。「なし」で一括りにすると、読み手が誤解します。
冊子として印刷したものがまだ改訂されていない段階では、改訂後の添付文書やお知らせ文書を添付して提供する運用も認められています。冊子の刷り直しを待たずに最新情報を届けるための措置です。
実例
IFのⅩⅢ備考には、簡易懸濁法の可否や粉砕の可否といった、電子添文には記載されない実務的な情報が入ることがあります。これらは承認された用法ではない使い方に関する情報にあたるため、扱いには注意が必要ですが、現場では頻繁に参照される項目です。
他資材の制作時には「臨床成績の数値はⅤ章、副作用の背景はⅧ章、外国での発売状況はⅩⅡ章」といった形で、IFを索引として使います。
混同されやすい言葉
電子添文は法令に基づく公式文書で、記載できる内容が限定されています。IFはそれを補完し、背景や理由まで記述します。
製品情報概要はプロモーション資材であり、業界の作成要領に従います。IFはプロモーション資材ではないため、適用される基準が異なります。両者を同じ基準でレビューすると、誤った指摘になります。