製品情報概要(せいひんじょうほうがいよう)
別名:総合製品情報概要、特定項目製品情報概要
医療用医薬品の情報を、業界の自主基準に沿ってまとめた資材。全項目版と特定項目版がある。
発注される方へ — この言葉が意味すること
医療用医薬品の資材のなかで、最も基準がはっきり決まっているのが製品情報概要です。業界団体が定めた作成要領という自主基準があり、何を書かなければならないかが具体的に指定されています。
種類は2つあります。全項目を記載した総合製品情報概要と、特定の項目に絞った特定項目製品情報概要です。どちらを作るかで記載義務の範囲が変わります。
押さえておくべきなのは、作成要領の対象は製品情報概要だけではないという点です。専門誌の広告、記事体広告、プレゼンテーション用のコンテンツ、学会発表の要旨・記録集、文献の別刷、自社が主催・共催した講演会の記録集まで含まれます。「製品情報概要という名前の資材だけの話」と考えていると、対象範囲を読み違えます。
もう一つ、発注時に確認しておきたいのが他の資材との関係です。たとえばお知らせ文書に自社製品の有効性・安全性の具体的な成績を載せたい場合、それはお知らせ文書単体では書けず、特定項目製品情報概要として作る必要があります。「この内容を載せたいなら、この資材種別で作らなければならない」という制約が資材の種類ごとに決まっているため、何を載せたいかが決まると、作るべき資材の種類も決まります。
制作する方へ — 実務上のポイント
必須の記載事項は、電子添文の構成に沿って組み立てます。効能効果とその関連注意、用法用量とその関連注意、使用上の注意(警告・禁忌を含む)、そして関連情報(承認番号と承認年月日、薬価収載日、販売開始日、再審査・再評価情報、承認条件)です。
標準的な章立ては、警告 → 禁忌 → 開発の経緯 → 特徴 → Drug Information → 臨床成績 → 薬物動態 → 薬効薬理 → 安全性薬理・毒性 → 理化学的知見 → 製剤学的事項 → 取扱い上の注意 → 包装 → 関連情報 → 主要文献 → 製造販売業者、という流れになります。警告と禁忌は冒頭とDrug Informationの2箇所に、番号付きの独立した見出しで掲載するのが実例で確認できる形です。
制作上、特に注意が必要な点が3つあります。
一つ目は安全性情報の文字サイズです。安全性情報は有効性と同じか、それ以上の文字サイズで記載します。レイアウトの都合で安全性側を小さくすると、基準に反します。
二つ目は学会のガイドラインの引用です。診断・治療ガイドラインは改変せず原文のまま記載します。字数調整のために要約したり、言い回しを整えたりしてはいけません。
三つ目は出典の明記です。実例で確認できるスタイルは3種類あり、社内資料型(「社内資料:第Ⅲ相臨床試験(試験番号):承認時評価資料」)、学術誌型(著者名・誌名・巻号頁・年に利益相反の注記を添える)、統計資料型(公式機関の統計名と年度)に分かれます。資材内の相互参照は括弧内に項番号を書く形式が使われます。
実例
実際の総合製品情報概要では、冒頭の管理情報として日本標準商品分類番号、RMP対象製品である旨、規格別の承認番号、薬価収載日、販売開始日、規制区分が並びます。文末には資材管理番号と作成年月が入ります。
臨床成績の章は、試験ごとに「患者背景 → 有効性(主要評価項目 → 副次評価項目 → 観察項目)→ 安全性(有害事象・抗体陽性例)」を分けて配置する構成が取られます。有効性側には信頼区間やp値を、安全性側には発現率を表で並べる形です。この分離配置そのものが、有効性と安全性のバランスを保つための設計になっています。
混同されやすい言葉
電子添文は、法令に基づいて作成される公式な文書です。製品情報概要は業界の自主基準に基づく資材で、位置づけが違います。製品情報概要は電子添文の構成に沿って作られますが、電子添文そのものではありません。
インタビューフォームは、電子添文を補完する学術資料です。プロモーション資材ではない点が製品情報概要と大きく異なります。
RMP資材は、規制上の位置づけが根本的に違い、製品情報概要の作成要領の対象外です。取り違えると誤った指摘や誤った制作につながります。