Mandatory Change / Suggested Change(まんだとりーさじぇすてっどちぇんじ)
別名:Mandatory、Suggested、必須修正、提案修正
審査コメントを「必ず直すもの」と「直すことが望ましいもの」に区分するラベル。対応の優先順位が変わる。
発注される方へ — この言葉が意味すること
社内審査のコメントを制作側へ渡すとき、そのコメントが必須なのか提案なのかを明示する運用です。外資系企業の日本法人を中心に定着しています。
区分する理由は単純で、両者は扱いが違うからです。Mandatory Change(必須修正)は、反映漏れがあると審査の再提出になり、スケジュールに直接響きます。一方 Suggested Change(提案)は、用語の統一、訳語の選び方、脚注の位置、表現の微調整など、必須ではないが対応が望ましいものです。
発注側でこのラベルを付けておく価値は、制作側が消し込みの順番を決められるところにあります。ラベルがないと、制作側はすべてのコメントを同じ重みで扱うか、勝手に優先順位を判断することになります。前者は時間がかかり、後者は判断を誤るリスクがあります。
なお、Suggested Change は「対応しなくてよい」という意味ではありません。対応しない場合は、なぜ対応しなかったかを記録して返すのが実務上の作法です。次の版で同じ指摘が繰り返されるのを防げます。
制作する方へ — 実務上のポイント
ラベルが付いたコメントを受け取ったら、Mandatory の消し込みを先に完了させます。両者を混在させたまま作業すると、必須修正の反映漏れが提案対応に埋もれます。
日本語のコメントでラベルが明示されていない場合でも、文末の表現から区別できることがあります。「ご検討ください」「いかがでしょうか」という結び方は提案であることが多く、「修正してください」「〜に変更」は必須です。ただしこれは推定でしかないので、判断がつかないものは確認します。
Suggested Change に対応しないと判断した場合は、その理由をコメントとして残します。たとえば学術用語の訳語をどちらにするか検討した経緯、なぜ現行表記を維持したか、といった内容です。この記録があると、次の版で同じ議論を繰り返さずに済み、担当者が変わったときの引き継ぎにもなります。
反映後は、Mandatory の全件が消し込まれたことをチェックリストで確認してから返します。件数を数えて突き合わせるだけでも、漏れはかなり防げます。
実例
審査コメントは、PDFの注釈として届く場合と、PowerPointのコメント機能で届く場合があります。どちらの経路でも、コメントの先頭に区分のラベルが付されるのが一般的です。
Suggested Change の典型例としては、学術用語をどう訳すかの検討があります。英語論文に出てくる試験の呼称を、原語のまま残すか、日本語に訳すか、訳すとしてどの語を当てるか。どれも間違いではないため必須修正にはなりませんが、資材全体で統一されていないと読み手が混乱します。こうした指摘は、対応するかどうかよりも「なぜその判断をしたか」を残すことに価値があります。
一方 Mandatory Change には、承認された効能効果の記載と資材の記述が一致していない、安全性情報の記載が電子添文と食い違っている、といった、そのままでは資材として成立しない指摘が入ります。
混同されやすい言葉
赤字は指示の形式(資材上に直接書かれている)を指す言葉で、必須か提案かの区別は含みません。Mandatory / Suggested は指示の重みを示すラベルです。赤字にこのラベルが付くこともあります。
高閲時確認は、必須でも提案でもなく「判断を保留している」という印です。埋めずに残すのが正しい扱いです。