お知らせ文書(おしらせぶんしょ)
別名:ご案内文書
新規承認・新発売・追加承認・薬価収載などを医療機関に案内する資材。書ける内容に制限がある。
発注される方へ — この言葉が意味すること
お知らせ文書は、新規承認・新発売・追加承認・薬価収載・剤形追加といった出来事を医療機関に案内するための資材です。プレスリリースは対象に含まれません。
この資材で最も注意すべきなのは、書ける内容が限られていることです。
自社医薬品の有効性・安全性の具体的な成績を記載したい場合、お知らせ文書単体には書けません。 その場合は特定項目製品情報概要として作成する必要があります。「新発売のお知らせに、試験結果を一つだけ添えたい」という要望はよく出ますが、これは資材種別の変更を意味します。
もう一つ、専門誌広告のキャッチフレーズや「特徴」の文言を、お知らせ文書に転用してはいけません。広告用に作った訴求コピーをそのまま案内文書に流用する、というのは自然な発想ですが、これは認められていません。
発注時に整理しておきたいのは、この案内で何を伝えたいのかです。事実の告知だけなのか、製品の価値も伝えたいのか。後者であれば、作るべき資材はお知らせ文書ではありません。
制作する方へ — 実務上のポイント
お知らせ文書の制作では、原稿に有効性・安全性の具体的な成績が紛れ込んでいないかを最初に確認します。クライアントから支給された原稿に、試験の数値やグラフが含まれていることがあります。
この場合、そのまま組むのではなく、資材種別の確認を返します。「この内容を載せるなら特定項目製品情報概要として作る必要がありますが、種別の変更でよろしいでしょうか」という形です。制作側で判断して削るのも、そのまま載せるのも適切ではありません。
キャッチフレーズの転用も同様です。既存の広告や製品情報概要の「特徴」ページから文言を持ってくると効率的に見えますが、これは認められていません。流用元が何の資材かを必ず確認します。
企業名の記載は必須です。作成した企業名、または企画・作成の責任企業名を記載します。
レイアウト面では、案内という性格に合った落ち着いた体裁にします。訴求性の高いデザイン、大きなキャッチコピー、製品の魅力を強調するビジュアルは、内容が事実の告知にとどまっていても、資材全体として広告的と受け取られる要因になります。伝えるべき事実が正確に読み取れる構成を優先します。
改訂や追加承認の案内では、何がいつから変わるのかが読み手に一読で伝わる形にします。変更前と変更後を並べる、適用開始日を明示する、といった構成が有効です。
実例
薬価収載のお知らせに、収載された薬価と収載日、規格、包装単位を記載するのは問題ありません。ここに「本剤は○○試験において△△%の改善が認められました」という記述を加えると、有効性の具体的成績にあたり、お知らせ文書の範囲を超えます。
同様に、専門誌広告で使っている訴求コピーをお知らせ文書の見出しに流用するのも認められていません。
混同されやすい言葉
プレスリリースは報道機関に向けた発表で、お知らせ文書の対象外です。適用される基準も異なります。
特定項目製品情報概要は、特定の項目に絞った製品情報概要です。お知らせ文書に有効性・安全性の具体的成績を載せたい場合は、こちらの種別で作ることになります。名称は似ていませんが、実務上は「お知らせ文書に書けない内容を書くための受け皿」として、この2つはセットで理解しておく必要があります。
専門誌広告は媒体に掲載する広告です。お知らせ文書はそのキャッチフレーズや「特徴」の文言を転用できないため、両者の原稿は独立して作ります。