記事体広告(きじたいこうこく)
別名:タイアップ記事、記事体
記事の体裁をとった広告。製品情報概要の作成要領の対象で、比較の強調などに制限がある。
発注される方へ — この言葉が意味すること
記事体広告は、記事の体裁をとった広告です。専門誌に掲載されるものや、媒体社とのタイアップ形式のものが含まれます。
重要なのは、記事の形をとっていても広告として扱われるという点です。業界団体の作成要領の対象資材に明確に含まれており、製品情報概要と同じ枠組みで基準が適用されます。「記事だから広告ではない」という整理は通りません。
具体的な制約としては、他剤との比較試験成績や症例紹介を掲載しないこと、比較を強調するタイトルを避け、他社や他社製品の誹謗中傷にあたる表現を用いないことが求められます。
もう一点、押さえておくべきなのが監視の対象になっていることです。行政による販売情報提供活動の監視事業では、専門誌や学会誌の記事体広告が明示的に監視対象に含まれています。企業のウェブサイトや医療関係者向けの情報サイトも同様です。
監視で頻出する指摘項目は、多い順に、エビデンスのない説明、有効性の強調(安全性情報が不足している)、未承認の効能効果や用法用量の提示、他社・他社製品の誹謗中傷です。記事体広告は読み物としての面白さを求められる性格上、一つ目と二つ目に該当しやすい資材といえます。
制作する方へ — 実務上のポイント
記事体広告の制作では、記事としての読みやすさと、資材としての基準の両立が課題になります。
最も注意すべきは、エビデンスのない説明が入り込みやすいことです。記事の流れを作るために書かれた一文、専門家の発言をまとめた導入部分、図解に添えた説明文。こうした箇所は本文の記述より根拠の確認が甘くなりがちです。記事本文と同じ基準で、すべての記述に根拠を確認します。
次に、有効性と安全性のバランスです。記事構成上、有効性の話は流れを作りやすく、安全性の話は流れを止めます。その結果、有効性の記述が厚く安全性が薄い構成になりやすい。安全性情報は有効性と同じか、それ以上の文字サイズで記載するという基準は、記事体広告にも適用されます。
タイトルの扱いにも注意が必要です。比較を強調するタイトルは避けます。直接的に他剤を挙げていなくても、比較を想起させる表現は指摘対象になります。
レイアウト上は、広告であることが読み手に分かる状態を保ちます。媒体の通常記事と見分けがつかない体裁にすると、読み手を誤認させます。媒体側の表示ルールがある場合はそれに従い、無い場合でも作成企業名を明示します。
専門家の発言を引用する形式では、発言内容の確認工程を工程表に立てます。発言した本人による確認が必要になるため、レイアウト確定後に送付する前提でスケジュールを組みます。ここを見込んでいないと、入稿直前に工程が詰まります。
実例
記事体広告で指摘を受けやすいのが、導入部やまとめの一文です。「近年、この領域では○○が課題とされている」といった記述は、記事の流れを作るために自然に書かれますが、根拠を示せなければエビデンスのない説明にあたります。
図解に添えた説明文も同様です。本文の根拠確認は丁寧に行われても、図のキャプションは見落とされがちです。
混同されやすい言葉
専門誌広告は、記事の体裁をとらない通常の広告です。どちらも作成要領の対象ですが、記事体広告のほうが「記事と誤認されうる」という固有のリスクを抱えます。
疾患解説資材は疾患の説明を目的とするもので、広告として作られるものではありません。ただし内容によっては実質的に広告と判断されることがあり、その境界は記事体広告と地続きです。