Facts & Truth合同会社

表記統一(ひょうきとういつ)

別名:表記ゆれ、用語統一

資材内の表記のゆれをなくす作業。見た目を整えるためではなく、医学的意味を壊さないために行う。

発注される方へ — この言葉が意味すること

表記統一は、見た目を整える作業ではありません。医薬品資材では、表記のゆれがそのまま医学的な意味の違いになるため、品質管理として行われます。

最も分かりやすい例が `eGFR` と `EGFR` です。前者は腎機能の指標、後者は受容体の名前で、まったく別のものを指します。大文字・小文字の違いだけですが、取り違えれば内容が誤りになります。同様に `PD-1` と `PD-L1`、`HER2` と `HER-2` も、見た目が近く意味が異なる代表例です。

ここから導かれる大原則が、見た目の整えよりも、承認表記・原典表記との一致を優先するということです。読みやすさのために言い換えると、承認された文言との差異が生まれます。

発注側として知っておくと有益なのが、表記ルールには優先順位があることです。上から順に、案件ごとのクライアント指定ルール、製品のブランドガイドライン、公式文書(電子添文・インタビューフォーム・審査報告書・論文原典)の表記、シリーズ資材や前回制作物との整合、そして制作会社の社内標準、という順序です。

つまり、案件ごとの指定があれば、それが最上位になります。社内に表記の基準があるなら、発注時に共有しておくと、制作側の確認の往復が減ります。

制作する方へ — 実務上のポイント

制作側の社内標準として、次のような指針が一般的です。漢字・ひらがな・カタカナ・句読点・主な括弧は全角、英字・数字・単位・%・スラッシュ・ハイフンは半角。半角カナ・全角英数字・全角単位は使いません。

句読点は日本語本文では「、」「。」、英文や統計表記ではカンマとピリオドを使います。括弧は用途で使い分け、( )は補足や略語の説明、[ ]は参照や注記、〈 〉は効能別・剤形別などの区分、「 」は項目名・用語・引用、『 』は資料名・文献名に使います。

記号の混在は特に潰しておく必要があります。中点は全角「・」を使い、半角の中点は使いません。ハイフンに似た記号(全角マイナス、ダッシュ、長音記号、マイナス記号、半角ハイフン、エヌダッシュ)は見た目が似ていても用途が違うため、検索・置換の前に製品名・試験名・原典表記を必ず確認します。一括置換で製品名の中のハイフンまで変えてしまう事故が起こります。

そして最も重要なのが、製品名・効能又は効果・用法及び用量・副作用名・試験名・略語は勝手に変えないということです。「効能又は効果」を「効能・効果」に、「用法及び用量」を「用法・用量」に直すのは、読みやすくする改善ではなく、公式表記の改変にあたります。

大文字・小文字も原典を維持します。`pH` `mRNA` `HbA1c` `CYP3A4` などは、文書作成ソフトの自動修正で書き換えられることがあるため、自動変換を信用せず、表・図・脚注まで確認します。

実例

危険な表記ゆれとして繰り返し挙がるのが、`eGFR` と `EGFR`、`PD-1` と `PD-L1`、`HER2` と `HER-2`、`mL` と `ml` と `ML`、`p値` と `p value` と `P値`、`CI` と `95% CI` です。

これらは校正で拾うだけでは足りず、制作の段階で「変換しない」運用にすることが推奨されます。いったん変換されてしまうと、どちらが原典だったのかが分からなくなるためです。

混同されやすい言葉

校正は、原稿と組み上がったものを突き合わせて誤りを見つける作業全般です。表記統一はその一部で、表記のゆれに焦点を当てたものです。

セット横断一貫性チェックは、複数の資材をまたいだ一貫性を見る作業です。表記統一は1つの資材の中で完結する作業を指すことが多く、範囲が異なります。