Facts & Truth合同会社

患者向け資材(かんじゃむけしざい)

別名:患者向け服薬指導資材、患者説明用資材

患者に向けて作られる資材。服薬指導用と、医療関係者が説明に使うものとで基準が大きく異なる。

発注される方へ — この言葉が意味すること

患者向けの資材には、性格の異なる2種類があります。この線引きが、この領域で最も重要なポイントです。

ひとつは患者向け服薬指導資材で、患者本人が読むことを前提としたものです。表紙などに「○○○を服用(使用)されている方へ」と対象を明記します。

もうひとつは医療関係者が使用する患者説明用資材で、医師や薬剤師が患者に説明する際に使うものです。こちらは「医療関係者用」と明記します。

両者は書ける内容が大きく違います。

服薬指導資材は、安全に使うために必要な情報に限定されます。 服薬の方法、注意点、副作用への注意、保管方法などです。そして有効性については、イメージ図にとどめ、具体的な臨床データ(数値やグラフ)は記載できません。

患者説明用資材のほうが範囲は広く、病態の説明、対処法、製品情報、服薬方法などを必要に応じて記載できます。ただし科学的根拠に基づいて正確・公平・客観的に、有効性と安全性をバランスよく書くことが求められ、プラセボ対照試験を除く臨床比較試験の成績は記載できません。

この2つは、有効性の数値・グラフの掲載と、比較試験成績の掲載が、実務で最も多い違反パターンの発生源です。発注の時点でどちらの資材を作るのかを確定させてください。

制作する方へ — 実務上のポイント

制作に入る前に、作る資材がどちらの種別なのかを必ず確定させます。ここが決まらないと、載せてよい情報の範囲が決まりません。

他社製品の扱いにも決まりがあります。服薬指導資材でも患者説明用資材でも、安全に使ううえで必要な場合に限り一般名のみで記載し、製品名は使えません。

ただし、資材の種類によってこのルールが逆転する場合があります。配合変化表は販売名での記載が必須という例外です。「他社品は一般名」と機械的に覚えていると、ここで誤ります。

患者説明用資材にはさらに厳しい制約があります。効能効果と用法用量について承認範囲外の記載は禁止であり、「参考情報」は一切記載できません。これは製品情報概要の特定項目版のルール(参考情報を条件付きで認める)とは別の、より厳しいルールです。資材種別を混同して適用しないでください。

企業名の記載は、資材の種別を問わず必須です。作成した企業名、または企画・作成の責任企業名を記載します。これは資材種別を問わないチェック項目として扱います。

なお、患者向け資材はRMP資材として作られる場合があります。その場合は適用される基準の枠組みそのものが変わるため、着手前に必ず確認します。

実例

患者向けの資材で頻出する指摘が、有効率のグラフを掲載してしまうケースです。患者に治療効果を伝えたいという意図は理解できますが、服薬指導資材では具体的な数値やグラフは使えません。伝えるならイメージ図の範囲にとどめます。

セルフチェックリストを載せる場合にも制約があります。症状のチェックだけで診断が確定するかのような表現は使えず、必ず医師への相談を促す形にします。また、疾患リスクを「必ず発症する」、治療を「必ず治る」と誤解させる表現も使えません。

混同されやすい言葉

疾患解説資材は疾患の説明を主目的とするもので、特定の医薬品の広告と解釈されないようにする必要があります。患者向け資材は、特定の製品を服用している患者に向けたものです。

お知らせ文書は医療機関に向けた案内で、患者向けではありません。読み手が患者かどうかで適用される基準が変わるため、想定読者は資材の冒頭で明示します。