Facts & Truth合同会社

医療用医薬品プロモーションコード(いりょうよういやくひんぷろもーしょんこーど)

別名:プロモーションコード、コード・オブ・プラクティス

業界団体が定める自主規範。資材制作もプロモーション活動に含まれ、適用対象となる。

発注される方へ — この言葉が意味すること

プロモーションコードは、法令ではなく業界団体の自主規範です。ただし実務上は必須の遵守基準として扱われます。2025年10月施行の改定で、より広い規範に統合され、その中の章として位置づけられました。

発注側にとって最も重要な変更点は、適用範囲が拡大したことです。従来はMRの活動が中心に想定されていましたが、改定後は会員会社の役員・従業員が行うプロモーション活動全体が対象になりました。

そしてプロモーションは「医療関係者の処方判断に影響を与える可能性のあるすべての行為を含む」と定義されています。つまり、資材の制作も明確に対象です。

主要な行動基準は次のとおりです。記載は科学的根拠に基づき正確・客観的・公平であること。最新のデータに基づくこと。効能効果と用法用量は承認範囲を逸脱しないこと。有効性・安全性について虚偽・誇大・誤認を招く表示を用いないこと。有効性に偏らず安全性・副作用情報をバランスよく併記すること。データと図表は出典を明記し、改変しないこと。効能効果の範囲内で副次的に得られた結果は「参考情報」と明記し、強調しないこと。

そして、資材は販売情報提供活動の監督部門による審査を経ることが求められます。必要に応じて社外の第三者による審査も含まれます。

制作する方へ — 実務上のポイント

制作の実務で守るべき点を具体化すると、次のようになります。

承認範囲を出ない。 適応外の示唆や暗示も認められません。直接書いていなくても、読み手がそう受け取る構成になっていれば同じです。

有効性と安全性のバランスを、分量と体裁の両面で取る。 安全性情報を末尾に小さく置くのは、分量では併記していてもバランスが取れているとは見なされません。

グラフは原データを改変しない。 軸を切り取る、スケールを操作して差を大きく見せる、といった処理は認められません。差が小さいデータを「小さいまま」見せることが求められます。

サブ解析・事後解析は「参考情報」と明示する。 明示したうえで、強調しない扱いにします。

断定・最上級・優越性の表現を避ける。

媒体による区別はありません。紙・Web・スライド・動画のすべてに同一の基準が適用されます。スライドだから、動画だからという理由で基準が緩むことはありません。

そして、制作物は必ず審査のフローを通します。制作側の判断で審査を省略できる資材はありません。

実例

グラフの軸の扱いは、制作の現場で判断を迫られる典型例です。2群の差が小さいデータで、軸の下限を0ではなく実測値の近くに設定すると、見た目の差は大きくなります。これは技術的には一般的な作図手法ですが、医薬品資材では差を誇張する処理として扱われます。

「参考情報」の明示も見落とされやすい箇所です。主要評価項目ではない結果を図表で示す場合、その旨の注記が必要になります。注記があっても、レイアウト上その図表が最も目立つ位置にあれば、強調していないとは言えません。

混同されやすい言葉

薬機法の広告規制は法令です。プロモーションコードは自主規範で、法令より広い範囲をカバーしています。両方を満たす必要があります。

製品情報概要の作成要領は、資材の作り方を具体的に定めた自主基準です。プロモーションコードは活動全体の行動基準で、より上位の規範にあたります。作成要領が「この資材にはこれを書く」を定めるのに対し、プロモーションコードは「どういう姿勢で情報提供するか」を定めています。

販売情報提供活動ガイドラインは行政が示した指針です。プロモーションコードは業界団体の自主規範であり、策定主体が異なります。実務では両方を併せて確認します。