薬機法の広告規制(やっきほうのこうこくきせい)
別名:誇大広告、適正広告基準
医薬品の広告について、誇大表現・保証表現・未承認の広告などを禁じる法令上の規制。
発注される方へ — この言葉が意味すること
医薬品の資材が守るべき法令上の規制です。中心になるのは薬機法の条文と、その運用基準である「医薬品等適正広告基準」です。
条文で押さえるべきは3点です。
誇大広告等の禁止 — 名称・製造方法・効能効果・性能に関して、明示・暗示を問わず虚偽または誇大な記事を広告・記述・流布してはならない、とされています。「暗示を問わず」という点が重要で、直接書いていなくても、そう読み取れる構成であれば該当します。
保証表現の禁止 — 効能効果や性能について、医師その他の者が保証したと誤解されるおそれがある記事は、誇大広告に該当するとされています。
承認前医薬品等の広告禁止 — 未承認の医薬品、および承認範囲外の効能効果の広告は禁止されています。
運用基準である適正広告基準では、さらに具体化されています。承認範囲外の効能効果等の標榜の禁止、保証表現の禁止(「治る」「根治」「副作用がない」「安全」など。データ・体験談・図表による暗示的な保証も含む)、最大級表現の禁止(「最高」「最強」「世界一」「No.1」など)、医薬関係者等による推薦表現の制限、他社製品の誹謗広告の制限、過量消費・乱用を助長する広告の制限。
違反には罰則と課徴金の定めがあります。
制作する方へ — 実務上のポイント
制作の実務で最も判断が難しいのは、暗示的な表現の扱いです。
「治る」と書かなくても、治癒した状態を示すビジュアルを大きく配置すれば、保証表現と読まれる可能性があります。「No.1」と書かなくても、他剤と並べた図で自社製品だけを強調すれば、最大級表現や誹謗にあたる可能性があります。書いていないことが、安全であることを意味しません。
体験談の扱いにも注意が要ります。適正広告基準では、データ・体験談・図表による暗示的な保証も禁止の対象です。患者の声を紹介する構成は、それ自体が保証表現として機能しやすい形式です。
推薦表現も同様です。医師・薬剤師・専門家・公的機関が推薦・指定・選用している旨の表現は原則として認められません。監修者として医師名を記載することと、その医師が製品を推薦していると読める構成にすることは別の話です。
比較の扱いでは、客観性を欠く比較広告も認められません。数値上は正確でも、比較の条件が揃っていない、都合のよい指標だけを選んでいる、といった構成は客観性を欠くと判断されます。
レビューでは、一つひとつの記述の正誤だけでなく、資材全体として読み手に何が伝わるかを見ます。個々の記述がすべて正しくても、構成の結果として誇大な印象を与えていれば、指摘の対象になります。
実例
暗示的な保証の典型が、症例の提示です。実際に改善した症例を正確に紹介していても、その症例が資材の中で大きく扱われていれば、同様の結果が期待できるという印象を与えます。通常の広告では症例紹介を掲載しないという基準は、この構造に由来します。
最大級表現も、直接的な言葉だけが対象ではありません。「唯一の」「初めての」といった表現は事実として正確な場合がありますが、文脈によっては優越性の主張として読まれます。事実であることと、表現として認められることは別の判断です。
しばり表現の省略も頻出します。効能効果に付された使用条件を、紙面の都合で落としてしまうと、承認範囲を超えた効能効果の標榜にあたる可能性があります。効能効果は条件を含めて一体のものとして扱います。
混同されやすい言葉
プロモーションコードは業界の自主規範です。薬機法は法令であり、違反には罰則があります。両方を満たす必要があります。
景品表示法は、不当な表示や過大な景品類の提供を規制する法律です。医薬品資材では両方が関わる場面があります。
製品情報概要の作成要領は資材の作り方を定めた自主基準で、法令ではありません。