Facts & Truth合同会社

電子添文(でんしてんぶん)

別名:電子化された添付文書、添付文書

電子化された添付文書。医薬品情報の一次ソースで、資材の記載はこれと整合している必要がある。

発注される方へ — この言葉が意味すること

電子添文は、医薬品情報の一次ソースです。製品情報概要も、RMP資材も、患者向け資材も、記載内容はこれと整合していなければなりません。資材制作において、最初に参照し、最後に照合する文書です。

資材制作の観点で知っておくべき最大の盲点は、電子添文の全項目が改訂管理の対象になっているわけではないということです。

法的な届出・改訂管理の対象になっているのは、警告、禁忌、効能又は効果に関連する注意、用法及び用量に関連する注意、重要な基本的注意、特定の背景を有する患者に関する注意、相互作用、副作用、臨床検査結果に及ぼす影響、過量投与、適用上の注意、その他の注意、取扱い上の注意です。

逆に言えば、「効能又は効果」そのもの、「用法及び用量」そのもの、薬物動態、臨床成績、薬効薬理は届出の対象外です。これらの変更は、承認事項の一部変更承認の情報を別途確認しないと追跡できません。

さらに、貯法・有効期間・組成性状の変更、主要文献欄だけの追記や修正も届出の対象外です。資材に書かれた保存方法、使用期限、剤形・性状、主要文献は、電子添文の改訂通知が来ていないというだけでは最新であることを確認できません。

「改訂通知が来ていないから資材はそのままでよい」という判断は、これらの項目については成り立ちません。

制作する方へ — 実務上のポイント

公表のタイミングにも注意が要ります。改訂された電子添文は、規制当局による公表後、原則として2週間以内に製造販売業者の自社サイトに掲載されます。これは資材の改訂スケジュールを組むうえでの前提条件になります。

ただし例外があります。一部変更承認に伴う「適用上の注意」「取扱い上の注意」の改訂は、製品の流通開始日または情報提供開始日まで公表を遅らせてよいとされています。

つまり、公表日と実際の改訂反映日は一致しないことがあります。資材の版改訂のタイミングを公表日だけで機械的に判定すると、実際の情報提供開始日とずれます。

もう一つ、レビューで前提を置きがちなのが販売中止後の扱いです。製造販売が終了しても、電子添文の公表がすぐ打ち切られるとは限りません。有効期限、流通の状況、医療機関での使用状況を勘案して公表終了の時期が判断されます。販売名が変更された場合の旧販売名品も同様です。

したがって、販売中止品や販売名変更後の資材(在庫として残っている資材を含む)をレビューする際に、「この添付文書はもう非公開のはずだ」という前提は置けません。旧製品の電子添文が生きている可能性を考慮します。

実例

資材の「保存方法」の記載が古いまま残っているケースは、この届出対象の区分に起因して起きます。貯法の変更は届出の対象外のため、改訂を追跡する仕組みに乗ってきません。改訂通知をトリガーに資材を見直す運用だけでは、この種の変更を捕捉できません。

同様に、主要文献欄に文献が追加されただけの改訂も届出の対象外です。資材の文献リストと電子添文の主要文献が食い違っていても、改訂通知からは気づけません。

混同されやすい言葉

インタビューフォームは電子添文を補完する学術資料で、電子添文には書かれない背景や理由まで記述します。法令上の位置づけが異なります。

製品情報概要は業界の自主基準に基づくプロモーション資材で、電子添文の構成に沿って作られますが、電子添文そのものではありません。

患者向医薬品ガイドは、患者やその家族に向けて適正使用に必要な情報を提供する文書です。対象読者が異なります。